アクセス解析
レンタル掲示板
<< 『集めたくなる豆皿、箸置き+干支展』はじまります。 | main | ひさびさにソパイパ >>
2017.01.12 Thursday

『エリザベート』20周年スペシャル・ガラ・コンサート 

 
宝塚での『エリザベート』初演より20周年の記念ガラ・コンサート行ってきました。
待望の姿月あさとさんのトート(死)の役の回。

20年前の初演を観てこの作品の素晴らしさに感激し、
そしてその後1998年に、
姿月あさとさんのトート役、花總まりさんのエリザベート役の再演を観て
初めてこの物語の深さにさらに捕われたように思います。

なんといってもこの作品の愁眉は音楽。
シルヴェスター・リーヴァイの作る音の並びが、
この世のものではない何かを体現し、
また体現する為に必要な肉体があり、、
そのまさに『必要な肉体』が
花總まりさんであり姿月あさとさんであったように感じた舞台でした。
人が作品を演じるのではなく、
作品が選ぶ人によって見えてくるものがあるような作品。
このふたりのキャストによる『エリザベート』の例えようのない魅力に、
1998年の再演では当日券に並んで何度も何度も観に行ったことが思い出されます。

1998年上演当時のメンバーは、
まさにこの作品を上演するために集められたようなメンバーといわれていて、
皇帝フランツ・ヨーゼフ役の和央ようかさんは
『フランツの深い哀しみをあの美しいメロディーがすべて顕しているから、
余計な事をせずただ淡々と歌うだけで良いのです。』と当時のインタビューで
答えていましたが(その”ただ歌う”事が大変に難しいとも言われていましたが)
まさにこの音の並びの持つ目に見えない力を熟知した上での言葉であったと、
実際の舞台を観ても感じたのでした。

『エリザベート』の物語の詳細や、
私がこの作品の足取りを追ったことについては
少し前のおぼえがきに書きましたので、
先にお読み頂くと本日のおぼえがきがスムーズかもしれません。
(ほんじつかなり熱く語ってしまいそうで、、すみません。笑)

今回観たガラ・コンサートは、
まさに1998年に観て震撼した姿月あさとさんのトート役の回でした。
あれから19年!?ずいぶんと月日が流れたものです。。

今回のエリザベート役は大鳥れいさんでした。
少女時代の演技にはあまり特別な光を感じられなかったのですが、
トート(死)に追いつめられれば追いつめられるほどに美しくなって行くのが
印象的なエリザベートでした。

皇帝フランツ・ヨーゼフ役は樹里咲穂さん。
これはもう特筆すべきでしょう。すばらしいフランツ・ヨーセフでした。
すばらしい。。

暗殺者ルイジ・ルキーニ役は1998年と同じキャストの湖月わたるさん。
あの時と良い意味で変わりなく、トート(死)への敬愛が
ひしひしと伝わってくるルキーニ。
ルキーニの、トート(死)への愛、
これこそこの物語を動かしている総てでしょう。。

年月を経てそれぞれの出演者がそれぞれの人生を生きてきた分だけ
その深みがこの作品に反映されているのをひしひしと感じました。
ほんとうに観に行って良かった!



今回この物語を改めて観て、私の内でも理解が深まり
わかったことがいくつもありました。

この物語は冒頭で語られるように、
ルイジ・ルキーニが呼び覚ました
ハプスブルク家のさまよえる亡霊たちが体現する物語。
つまり、すべてがこの世のものではない、という前提です。

そして劇場をこの世ではない黄泉の国へと圧倒的な力で
有無を言わさず引きずり込んで行くトートの歌声の力。
まさに黄泉の帝王でした。。
姿月あさとさんのトートの闇はよりいっそう深く凄みを増し、
そして純化していました。

暗闇の底で光を見ている。
姿月さんの肉体に宿った黄泉のトートの歌声には、
その切望と憧れを痛いほど感じます。
その光がエリザベートなのです。

エリザベートの存在は半幽半顕で、
彼女の魂は顕界と幽界を行きつ戻りつを繰り返しています。
(大鳥れいさんはお芝居のとても上手い方ですし
すきな役者さんなのですが、この役に於いては、
彼女の持っている気質に半幽半顕という体現が感じられなかったのが
少し気になりました。
これがないとトートに惹かれるという説得力が薄らぐように感じます。
もしかしたらこれは演技で出来る事ではないのかもしれませんが。。)

トートがエリザベートの息子ルドルフに最初に近づいたきっかけは、
ルドルフが、自分を本当に見てくれない母への”羨望と寂しさ”という
トートと同じ魂の片鱗を感じたから。
そしてトートが、
ルドルフを死の駒として利用しようとしたのは、
ルドルフが、単に自分の心の慰めの為・自分の益の為に猫を殺したから。
生きる事と同じ位『死』というものの尊さを理解していなかったから。

この宝塚版のエリザベートのラストは、
東宝版、そして本家ウィーン版と比べても非常に完成度が高く、
何より浄化感があることを上手く説明できないでいたのですが、
今回のガラ・コンサートを観て、はっきりわかりました。

最後にエリザベートの愛を手に入れる(人が死を愛し受け入れる)事で、
トート(死)はエリザベートとともに別のステージへ昇る事が出来たのだと。
ラストの白い衣装の場面は、もう黄泉の世界ではなく、
ふたりは別のステージにいて、
これは大変神道的な見解になるのだけれど、
人と死が互いに真の愛を得た事で、
霊格があがりステージが変わった事を示唆しているのだ、と一気に理解しました。

エリザベートの心臓を射した暗殺者ルキーニは、
トートと同じステージへ昇る事は出来なかったけれど、
彼は敬愛するトート閣下へ最高の贈り物が出来たということで、
たとえ人から狂気と言われても彼自身は満たされているのだろうと思う。。
けれど、冒頭の場面にでてくるように、彼の魂はずっとさまよい続けている。
(ジーザスを磔刑へ導いたユダの、魂のように。。
ユダもルキーニも敬愛する人のために行動し、そして自死している。
彼らは同じ界にいて、永遠にさまよっているように感じてしまいます。。)

何か大いなる力にまかされて世に光を与える時、
光にはどうしても影が必要だ。
ユダやルキーニのように影を引き受ける役割の者が
どうしても必要になってくるものなのでしょうか。。

物語そのものに力が在り、まるで生き物の様に自然に流れて行ったとき
作者すら意図しないところで、なにもかものつじつまが合うようにして完成する。
物を作っていてそういう瞬間があるのは私にもわかります。
宝塚版のエリザベートは、『愛』という明確なテーマに沿って
自然に流れて生まれた物語なのではないでしょうか。
実在したエリザベート皇后が語りたかった事が
もしかしたらこの舞台で体現されたのかもしれません。
そんな風に感じます。
おそらくこの物語を潤色した小池修一郎氏は
そこまで意図して宝塚版を作っていないように思います。
(でなければ、現在の東宝版『エリザベート』のラストをあんな風にはしないでしょう。
東宝版のラストの在り方では、エリザベートもトートも何も変わっていない。
ステージが変わっていないので、閉塞感があり滞りを感じます。)

なにか神がかったものを、この宝塚版の舞台には感じます。

姿月あさとさんの歌声は劇場を幽界のきわまで誘い、
そしてラストで黄泉の国から別のステージへと変わった時、
この世のさまようものたちをも、その声の力で浄化したように思えました。。
頭でなくダイレクトに心に届く声。
この作品でこそ、絶大に活かされる声だと思います。
今回ほんとうにひさしぶりに姿月さんの声を聞いて
じぶんの頭の中にいかに日常のゴミがいっぱい溜まっているかが分かり、
そして心でダイレクトに受けた浄化は、決して失われる事はないでしょう。

大鳥れいさんのエリザベート役も美しく、
また大鳥さんの解釈が伝わってきてとても素敵だったのですが、
目に見えない世界・幽界の場を変え、別の界へ移る力をもっていたのが
エリザベートの側だったとすれば、
やはりそれを体現できる肉体を持つ、という意味では
いつかもう一度、花總まりさんのエリザベート役で、
それに対しての姿月あさとさんのトート役の『エリザベート』を観たいです。
この作品の音の並びが持つ力をふたりの循環するエネルギーが最大限に増幅し、
圧倒的な浄化感にひきこまれる、あの舞台を、
もういちど全身で感じたいとどうしても思ってしまいます。

(そもそも演技とか音楽とか舞いとかはそういう物だと思うのですが、
肉体を通して異界へ通じる能力に特化した舞台人が時々宝塚に顕れるのは
やはり女性ばかりの環境で、さらに舞台に特化した環境だから
というものがあるのでしょうか。。いろいろな意味で奇跡的です。)

書きたい事が沢山在り、けれどそれがあまりに観念的・感覚的で
言語化してまとめる事が難しく思います。
これからまたじわじわと感じ得て気づかされる事もありそうです。
本当に稀な舞台を今回も観る(体感する)ことができました。
この作品に描かれていることは苦しいのですが。。幸せでもあり複雑です。


静かにいつも生の傍らに寄り添い、
そして明らかに姿をあらわすときは絶対的な存在である、死。
顕界と幽界の際で、光に眼差しを投げかけながら
圧倒的かつ純粋な漆黒の闇を体現させた
姿月さんのトートの歌声に、存在に、いまも心奪われています。







コメント
コメントする








 
この記事のトラックバックURL
トラックバック
Calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< September 2019 >>
生活をみなおそう
                       
MAJOホームページ
http://majo.moo.jp
MAJOへの仕事のご依頼
展覧会や委託販売、制作などお問合わせは まずはメールにてご連絡下さい。 majo_ceramica@yahoo.co.jp
Profile
MAJOプロフィール
 
Live Moon ブログパーツ
 
Selected Entries
Categories
Archives
Recent Comment
Profile
Search this site.
Others
Mobile
qrcode